グループホーム ほっこり庵で介護職員を勤める小林浩雄さんは
実はまったくの未経験、未資格からこの仕事をはじめました。
「都会では自然と勉強ができる環境があるんです」と語る小林さん。
今までを振り返りながら、現在の働き方、今後の目標について伺いました。
人と関わる仕事、誰かの手助けになるような仕事がしたかった
ー はじめから介護のお仕事を希望されていたのでしょうか?
いいえ、実は高校の時にスポーツクラブのアルバイトをしていて、そのままそこに就職しました。介護の仕事に興味を持ったのは、家で母親を看取った経験からです。家族で介護をしていたんですが、自分が本当に無力だなと感じて。将来、父にもいつか起きることであれば、その時のためにも介護の経験を積んでおきたいと思ったのが始まりでした。
ー 未経験からのチャレンジはどうでしたか?
未経験だし未資格だし、そんな自分を都会は受け入れてくれた。それは非常にありがたかったですね。先輩にも恵まれたと思います。管理職の職員と現場のスタッフ、それに新人である自分。役職や経歴の区別なく、みな距離が近くて。おかげで気兼ねなく相談できました。
ー 風通しが良さそうですね。
本当にそうだと思います。個人的には、この人間関係の良さが都会の大きな魅力のひとつだと思っています。
ー 働きながら資格の勉強もされたんでしょうか?
はい。でも改めて勉強をしたというよりは、働いていくなかで自然と知識がついていきましたね。これは都会ならではだと思うんですが、医療と介護がひとつのグループになっているので、医療職の方との距離が近く、質問しやすい空気が普段からありました。なので看護師やドクターの方が来られた際に、ふとした疑問を聞けるのは知識を得ていくのに大きな助けになりました。
それとバックアップが手厚くて。介護福祉士の受験資格として必須の研修があるんですが、その費用を出してもらえたり、時間の確保に色々と便宜を図ってもらえたのは非常にありがたかったですね。
“一緒に日常生活を楽しむ”のが、なにより大切な仕事
ー 現在のほっこり庵での仕事内容を教えてください。
ほっこり庵は認知症の方向けの少人数施設です。家のように落ち着いた環境で、食事、掃除、洗濯などの日常生活を過ごしていただきます。その中で、ご自身でやりきれない部分をお手伝いするのが私たちの仕事。ただイメージとしては、お世話をする人というよりは、一緒に日常生活を楽しむ「家族」に近い役割だと思っています。なので外へ一緒に出かけたり、日々をより楽しんで送ってもらえるようなレクリエーションを企画するのも、お仕事のひとつです。
ー 日々の仕事の中で気をつけているところはありますか?
“せわしなく動く”ことがないように意識しています。たとえば自分が家でのんびり過ごしている時に、家の中でせかせか動いている人がいたら嫌ですよね。利用者さまにはここを家のように感じていただきたいので、その点は注意して働くようにしています。
ー 小林さんは、この仕事のどんな部分にやりがいを感じますか?
生活をともにできるので、利用者さまとの関わりがシンプルに楽しいですね。また、看取りまでさせてもらうというのは、ありがたい経験だと思っています。辛い気持ちがないと言えば嘘になりますが、精一杯生きてこられた、その最後のゴールの瞬間まできちんと関わらせていただける。これも確かなやりがいだと思っています。
小さな作業でも、理屈はしっかり伝えるようにしています
ー さきほどのお話にもありましたが、研修の機会は多いのでしょうか?
充実していると思います。外部研修ですと、資格取得に必須の研修は積極的に行かせてもらえる機会があります。内部研修ですと、教育委員会が設置されていて、どのような勉強をしたいか現場の声を拾ったり、アンケートを取ったりして、その意向に則した教育や研修を実施しています。
ー たとえば、最近あったのはどのような研修ですか?
各事業所で利用者さまの転倒が続いたことがありました。その際、介護に携わっている全職員を何回かに分けて集め、都会の内部にいる理学療法士さんが講師となって、実際に介助する時の注意点や、ベット上でのポジショニングなどの具体策を教えていただきました。理学療法士さんは普段からリハビリに来てくれているので連携がとりやすく、スムーズに実現できました。
ー 新人教育の際に気をつけていることはありますか?
小さな事柄でもやる意味や理屈はしっかり伝えるようにしています。何かイレギュラーなことがあってもしっかりと理屈が頭に入っていれば、臨機応変に対応しやすいと思うんです。あとは単純に、褒めて伸ばしたいとは思っていますね。それに、この仕事の楽しさを精一杯伝えたいです。介護はどうしても辛い仕事と思われがちで、もちろんそれが無いとは言いません。でもそれ以上に楽しさもたくさんあります。新しく入ってきた人たちが「辛い仕事」とだけ思ってしまわないよう、できる限りのことを伝え、バックアップやサポートも万全に行なっていきたいと思います。
ー 将来の目標について、教えてください。
これは働きはじめたころからずっと根本にあるんですが、利用者さまにとって安心できる存在になりたいですね。どれだけこの先続けていくとしても、現場を離れても、ここだけは変わらない。「小林さんがいてくれて良かった」と言ってもらえるように日々過ごしていきたいと考えています。また、ほかの事業所とも連携をとりながら運営を学びたいと思っています。
努力した分だけ報われるし、周りも応援し、サポートしてくれるのが都会の良いところ。この場所で、描いた夢に一歩一歩近づいていきたいと思います。