社会人、子育てを経て第二の人生に看護を選んだ尾下さん。
「やってみないとわからない」という言葉が印象的で、現在は現場での経験を糧に都会を支える立場に。
飛び込んだ世界からご自身が見つめる未来についてお聞きしました。
”学びたい”をきっかけに看護の世界へ
ー看護の道を志した経緯を教えてください。
大学を出て社会人として働いた後、子育て、それから看護師の大学に行き直して看護師になりました。子育てが落ち着いた頃に、社会に出るにあたって一番自分に知識がないものについて勉強してみたいと思ったことがきっかけでした。子育てとの兼ね合いもあり、仕事にするかどうかは別にして、まずは自分のために学びたかったんです。
ーあえて未知の世界に飛び込んだんですね。
もともと興味がありましたし、自分の親も年齢を重ねていく中でこれからは医療の知識があって損はないという思いがありました。
ー看護師になられてから都会に入るきっかけは?
はじめは患者さんとゆっくり関わりたいという思いで地元岡山のホスピスに就職しました。そこから数年後に都会で働いていた看護大学時代の友人に誘われた、というのがきっかけですね。ちょうど子育てからも手が離れるというタイミングで、どうせ寂しくなるなら単身赴任でもしてみようかなと都会で働くことに決めました。
仲間がいるので、「できない」と思ったことはない。
ー実際に働いてみて都会はいかがですか?
看護師として訪問看護に携わったのですが、その楽しさや醍醐味は十分に味わわせていただきました。時には患者様の同行でハワイまで行くことも。
もちろん楽しいばかりではありませんし緊張することもありましたが、就職してから息つく間もなく普段できないような経験や出来事がたくさん起こりました。
ー未経験の訪問看護について不安はありましたか?
病棟では何かあった時にすぐに応援を呼べたのですが、訪問看護では1人で訪問して1人で判断して1人で手技を行うので本当にできるかなという思いはありました。でも当時は体力もありましたし、まわりのサポートや相談もしやすく、そこまで不安を感じていませんでしたね。働きはじめて「できない」と思ったことはないんじゃないかな(笑)。
都会は利用者さまだけでなく、内部のスタッフのことも考えてくれてて本当に働きやすいです。労働環境はもちろん、キャリアアップのサポートも厚くて、例えば学会への参加や発表の機会をいただけるような研修制度があったり、「やりたい」という気持ちに答えてくれるのはすごくありがたいですね。
持続可能な働き方のできる場所を目指しています。
ー現在はどんなお仕事をされているんでしょうか?
2年ほど前から訪問介護を離れて内部で事務をしています。主となるのはご紹介先とのやり取りですね。様々な医療機関やケアマネージャーさん、他の訪問介護さんとの連携や調整を引き受けています。具体的にはドクターやナースが関わるようなご利用者様の入退院の準備や日程調整などを私が遠方からさせていただいています。
ー喜びややりがいを感じる瞬間はありますか?
やはり実際に訪問してご利用者様と関わるのも大切ですが、今の仕事は目立つわけではないけれども必ず誰かがやらなければならない仕事で、そういう意味では任せていただけているということにやりがいを感じます。
日々の訪問調整などもさせていただいているので、先生方がスムーズに訪問できた、といったことは嬉しく思いますね。なによりも一番は利用者様が安心して療養されていたり急な往診依頼にも柔軟に対応することで安心していただけたりすることに喜びを感じます。
ー今後の目標は?
今私がすべきことは次の世代につなぐこと。全体的にスタッフの業務が過多になっている今の状況に対して、仕事にやりがいを感じながら心にゆとりを持てるような働き方ができる場所にしていきたいです。今の私の仕事を誰かやりますかって言ったらみんなやりたくないっていうんじゃないかなって、だからそこをやっても良いかなって思ってもらえるようにしたい。
手探りではありますが、持続可能な働き方ができる、そんなところにしていきたいというのが目標です。